14番街の奇跡

2013年11月11日、カンザス公演を終えNY入りしたHEAVENESEが最初にしたことはストリートパフォーマンスです。
「NYでは全く無名の自分たちの存在を、多くの人々に知ってもらうためには、とにかく街に繰り出すしかない!
お客さんは誰もこないかもしれないけれども、みんなで衣装をきて、タイムズスクエアで記念撮影できれば『それでいいよね!』そんな心でNY公演にのぞんでほしい」
日本を発つ前からリーダーのマレはメンバーに何度もそう言い続けていました。
過去2回の米国ツアーが大成功してきたHEAVENESEであっても、NYはエンターテイメントの頂点。厳しいNYの洗礼を受けるに違いない・・
最悪な評価を受けたときに、メンバーが失望してしまわないために、何度も彼らの心を準備させていたのです。

ところが・・・・

公演の数日前にユニオンスクエアで行った野外パフォーマンスには、音を出す前のセッティングの段階から人垣ができ、演奏を始めると文字通り黒山の人だかりとなりました。デモンストレーションの後には、撮影を求める人々が殺到したり、わざわざ花を買ってプレゼントをして下さる方まで現れたのです。

演奏を終えると「次はいつやるのか?その時間までの友達をつれて戻ってくる」という人々も現れ、しまいには、スピーカーに、次のパフォーマンス予定時刻を張り出すことに。

この様子を目撃していた近所に住んでいるという人が、スタッフの一人に駆け寄りこう言うのです。

「あなたたちは、今、すごいことが起こっていると理解していますか?今までこんなことを見たことがありません!」

毎日数多くのストリートパフォーマーが、路行く人々の前で演奏しているユニオンスクエア。地下鉄の駅の真上に位置するこの場所は、地下鉄利用者が足早に通り過ぎていきます。人通りは多くても、パフォーマンスを観るために立ち止まる人はほとんどいません。

そんなユニオンスクエアにできた黒山の人だかりは、ニューヨーカーたちに大きなインパクトを与えたようです。
「NY loves HEAVENESE. You made a history」
NYで活動するミュージシャンの方々から、何度も何度もそう言われました。NYの歴史を変えた!と。

ブロンクスで生まれた生粋のニューヨーカーの彼は、若い頃から武道を志し、東洋的なものを愛し育ってきたと言います。武道を学ぶものにとっては『日本の道』が基本なのだそうです。その武道と(侍、忍者)、彼の愛する音楽が一体化した文化的パフォーマンスは彼に大きなインパクトを与えました。 しかもただのエンターテイメントではなく、メッセージがあることに、彼は「人生を変える衝撃だった」というのです。私たちとしては、ただただ驚くばかりです。

「もしマイクタイソンのインタビューが短くされなければ、そして、もしユニオンスクエアへ行かなければ、決してHEAVENESEには出会わなかった。これは14番街の奇跡だ」

彼自身涙ながらにこう語ってくれたことから、我々も感動をもってこの出来事を「14番街の奇跡」と呼ぶようになりました。
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